NHKのお葬式特集 

 今朝のNHKでお葬式について特集されていました。お葬式の形も大きく変わってきましたが、印象的だったのは、「お葬式には亡くなった方の希望もあるかと思いますが、これから生きていかなくてはいけない方のことも大切に考えてください。」というコメントです。

 それを聞いて以前読んだ、古くからの習俗でなぜ葬式の時に故人の茶碗を割るのかということについて書かれたものを思い出しました。筆者は、茶碗を割ることを通して、故人と今生の別れを告げるという心のけじめをつけることもその背景にあるのではないか、という説を建てられていました。

 通夜葬式の簡略化が進んできていますが、通夜葬式は故人に成り代わって生前お世話になった方にお礼を申し上げる場所であり、家族が個人に別れを告げる大切な場所でもあります。また、参列される方々のお姿やお言葉から家族は故人がどれほどの人々と縁をもって生きてくださったかを知ることにもなります。お寺からは通夜葬儀をお勤めすることを勧めていますが、どのような送り方をするか家族に強制することはありません。ただ、阿弥陀様の御前で静かに故人を偲ぶ中に、涙が流れるままに心からお礼を申し上げられる通夜葬式は大変尊いものでありますし、残された家族にとって大切に別れを告げる時間となってくれるはずです。

 NHKでは「朝から縁起でもないことですが」と番組が始まりましたが、仏教では死ぬことについて話すことは生きることについて話すことと同じくらい大切なことです。だから必ず迎える死を縁起でもないとは決して言いません。とても大切なことですので、一度ご家族でお話し合いになることをおすすめいたします。

 

 蛇足になりますが、「直葬」とは「火行」の略ですので、葬式の一形態ではありません。