ミニマム ポシブルとは明治時代の学僧、清沢満之の言った言葉で「可能な限り最低限の生活」という意味です。衣食住があまりにも豊かな現代の私たちにひとつの警鐘を与えてくれる言葉ではないかと思います。
日本の失業率が過去最悪の五・三パーセントとなり約三百六十万人が完全失業しているとつい最近発表がありました。家族を抱え、車や家のローンをかかえてリストラ、倒産で失業、再就職もままならぬ状況で、このまま政府が某かの手を打たなければ日本丸が沈没してしまう危機に曝されているともいわれています。
しかしどうでしょう。この辺でみんなで少し頭の変換をしてみては? ミニマム ポシブルの実践です。
確かに仕事がなければ給料がもらえず生活に困るでしょうが、今のこの日本で衣食住ができなくなるとはどうしても考えられません。家のローンの支払いが無理なら家を売ってアパート住まいにすればいい。車の代わりに自転車でもいい。電車やバスを利用したらいい。生活費の安い田舎に移り住むのはどうだろう。見栄や恥や外聞なんか捨ててしまおう。会社の仕事なんかあてにしないで自分で身体を動かして汗を流して働いたらいい。そしたら、おにぎりとお新香一切れが何よりのごちそうになる。
今の日本は余りにも物やお金が中心になり過ぎてしまったように思えてならないのです。儲かるか儲からぬかで仕事の値打ちが決まり、お金を取るか取らぬかで人間の値打ちまでも決まってしまう。ある学校で、子供たちに一番大事なものは何かと先生がきいたら、みんなが「お金だ」と答えたという事です。これは親の考えや大人の言動が今の子供たちに移っているのです。これでは二十一世紀を担う子供たちがあまりにも可哀想です。日本丸の沈没どころか世界の破滅に向かってしまうといっても過言ではないと思います。
ミニマム ポシブル、お金や物に頼らず可能な限り最低限の生活。私たちは物事に余り心配しないで安心して笑顔でやさしく楽しく日々を送ることができるに違いありません。
そしてこの尊い自己の存在を、お念仏の教えを聞かせて頂く中に気づかせて頂くことが、人生最大の喜びとなると確信してやみません。
良き人生、悔いなき人生はミニマム ポシブルの実践とお念仏であります。
合掌