春は称名に入りて口忽ち開く、
声高し無量寿如来、
言ふなかれ楽土西方遠しと
一夜の東風 千里の梅
仙崖和尚のこの言葉は、毎年新年を迎える度に父が書にして味わっていたものです。早いもので二月で父の十七回忌を迎えます。今年も又、父が教えてくれたお念仏の道を精一杯歩んでいきたいと思っています。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
仙崖和尚は禅僧ですがお念仏も歓ばれた方でした。新年を迎えて一番先に口を突いて出たのがお念仏でした。菅原道真の詠んだ「東風吹かばにほいおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ」の逸話に因んで、お浄土は西方十万億土を過ぎた遠い所と聞くが、お念仏を頂いたものは如来さまの本願力にまかせて一足飛びにお浄土に生れさせて頂くのである。育ててくれた人の真心に応えて梅の花でさえ千里も離れた京から飛んで来たではないか。お念仏申す身とさせて頂くとは何と幸せなことであろうかと、声高らかにお念仏されたのでした。