一口法話
原発を思う 岡本信之
原爆を体験した日本で、原発の大事故とは皮肉なものです。平和利用の為の原発が引き起こした事故がこれほどに残酷な恐ろしい結果を生み出すとは・・・・・。私たちにとって原発は本当に必要なものなのでしょうか?放射能に汚染された十数キロに及ぶ、人っ子一人いない死の町と化した町や村。そこから避難し、今なおあの狭い仮設住宅に住む数万人の方々の事を思うと何とも申し訳ない気持ちで一杯になります。食べ物を求めて彷徨する飼い主のいない牛や馬、犬や猫がバタバタと死んでいるそうです。このような悲惨な状態が三十年以上も続くと言われています。これが仮に日本にある十数カ所の原発で起こったとしたら・・考えただけでもぞっとします。諸行無常の世にあって、このような事故は絶対に二度とは起きない、起こさないと言い切れるのでしょうか?地震も恐いが原発の放射能の事故はもっと恐い。地震は自然災害、原発は人的災害。豊かさ、便利さばかりに目を奪われず、ちょっと一歩踏み止まって、考え直してみることも大切ではないでしょうか。テレビも冷蔵庫もない幼い頃の、さほど不便、貧しいとは思わなかった時代に少し戻ってもいいような気がします。人と人とのつながりも温かかった。悪いことが起きても他人のせいにすることはあまりなかった。自分が悪かったと誤る人が多かった時代が妙に懐かしく思うと同時に、お念仏に遇った歓びを嬉しく思うこの頃です。