一口法話

        「新」を思う合掌の姿         岡本信之

 

 平成二十一年を表す漢字一字は「新」だそうです。確かに、変化(チェンジ)という言葉が至る所で叫ばれ、米国では歴史上はじめての黒人の大統領が誕生し、日本でも自民党から民主党へと政権交代がなされました。変化、新旧交代、そんなところからこの「新」という漢字が決められたのではないかと思います。

 何事につけても、「新しい」ということは気持ちがいいものです。新車、新品、新居、新人、ピカピカの一年生、新じゃが等々。

 広辞苑で「新」という字がつく、四字熟語を調べてみました。

  温故知新 前に学んだことや古いことを研究して、それによって現代のことを知ること。

  新陳代謝 生物が生きるために必要なものを体内に取り入れ不必要なものを対外に取り出すこと。古いものが去り、新しいものがこれに代わって出てくること

 確かに、変化も新しいことも大切なのでしょうが、もっと大

切なことは、変化も新しいものも必ず変わってゆくという、仏

教の教え、諸行無常を知ることだと思います。親鸞聖人は次のように述べておられます。「煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界はよろづのこと、みなもつてそらごとたはごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞまことにておはします。」と。