一口法話               

       樹木葬(樹林墓地)を思う   岡本信之

 

今頃、新聞やテレビ等で、樹木葬(樹林墓地)について多く報道されています。現代日本ではお墓に対する認識が急速に変わってきているようです。お墓離れ、散骨、樹木葬、手元供養等々。そもそもお墓なんかいらない、死んだら骨は海でも山にでも撒いてくれればよいといった遺言を残す人が非常に多くなっているそうです。樹木葬(樹林墓地)というのは石のお

墓や納骨堂に納骨するのではなく、樹木の下にお骨を埋めて、自然の土に還すというものだそうです。数カ月前にテレビの

ニュースで、都営の小平霊園に500体分の新しい樹林墓地ができ、募集したところ一万人近くの応募があったとのことでした。その謳い文句がいい、公の東京都の勧めですー死後は安らかに自然に還りたいという多くの都民の皆さまの思いに応えられるよう安い価格で・・・。大自然に抱かれ緑に囲まれた環境で自然に還ることができる・・・。コブシ、ヤマボウシ、ネムノキ、サクラ、バラ等に囲まれて・・・・。

人間は誰もがいつか死を迎えなければなりません。息が切れたら、耳元でどんなに大きな声でその人の名を呼んでも何の反応もありません。目も見えなくなるのでしょう。きれいだ、美しいだなどと感ずることもできなくなるのでしょう。自然に還りたい、花に囲まれていたい、安らかに眠りたいと思うのは今生きている人間です。問題は、今生きている人間が死んでいくまでの道程です。また、「私はいつ死んでも大丈夫、お念仏のお陰で安心して死んでゆけます。」と言えるような確固たるこころを持たせてもらうことではないでしょうか。

 「安らかにお眠りください。」「ご冥福をお祈りします。」と亡き人を思う言葉も空しく響きます。

 自然に還るよりも、花に囲まれるよりも、安らかに眠るよりも、浄土に還り仏さまにならせていただくと信じていくお念仏の道が最勝の道です

 

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