一口法話   

       清く正しく美しく−人の言行−        岡本信之

政治家、教師、僧侶、医者、弁護士等々一般に「先生」と呼ばれている人たちです。清く正しく美しく、この人たちの言行はこうあるべきだ、と人は言いますが、実際はどうでしょうか。僧侶としてのわが身を正直に振り返ってみると、誠にお恥ずかしいながら、清く正しく美しく生きられない自分が見えてきます。平気でうそをついたり、人を欺いたり、わが身を犠牲にするどころかわが身可愛さの塊であります。あの都知事のようにあのように糾弾されたら、ぐうの音も出ないのは必至です。自己弁護になるかもしれませんが、周りの人たちが人間の本質を、自分の本当の姿をもっと真摯に受け入れることが、日本人として大切なことではないでしょうか。清く正しく美しく生きられない一面を誰もが持っているということです。完全な人間を目指すことも大切でしょうが、もっと大切なことはお互いが不完全な人間であるということを認識し合い、同情心、憐れみ合う心を持つことではないでしょうか。私たちは仏さまのお慈悲の心を大切にしたいものです。

 

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