一口法話

       新しい年を迎えて     岡本信之

 平成二十八年を迎えます。「皆さまにおかれましては新しい年が良い年になりますよう心より念願いたします。」

「良い年をお迎え下さい。」等々、良い年という言葉が年頭の挨拶にたびたび出てきます。

 さて、この良い年とはどういう年を言うのでしょうか。私なりに考えてみたいと思います。先ず、起こって欲しくない出来事、天変地異、火事、凶作、戦争、テロ、人種差別、家庭内暴力、夫婦兄弟親子喧嘩、いじめ、自殺、家族との別れ、不慮の事故、ウイルス性伝染病、がん、脳梗塞、糖尿病、心筋梗塞、呆け、寝たきり、騙したり騙されたり、恨んだり恨まれたり、怒ったり怒られたり、苦しんだり、悲しんだり等々、まだまだ続きます。

次に、こうありたいと願うこと。平和、健康、豊作、家内安全、商売繁盛、病気平癒、厄難消除、十億円宝くじ当たれ、世界一周、私もノーベル賞、世界一、大臣の椅子等々、まだまだ続きます。

こうやって考えてみると、どちらも一年中当たり前に起こり、当たり前に誰もが願っても願い通りにはいかず、何が本当にいいのか、何を本当に願うのか、わからなくなります。

「煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、よろづのこと、みなもつてそらごとたはごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞまことにておはします。」歎異抄

 

 

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