一口法話

    誕生日と命日       岡本信之

 私の誕生日は昭和二十二年七月二十二日です。私の父は明治四十四年二月二十日に生まれ、昭和六十二年
二月二日、肺がんで亡くなりました。行年七十六才でした。

この世に生まれたものはすべて、死ぬとき、命日を迎えなければなりません。

私の命日は何月何日になるのでしょうか。私は何で死ぬのでしょうか。父も母も兄もみな癌で逝きました。私も癌で逝く可能性は高いかもしれませんが、脳梗塞、動脈瘤、心筋梗塞の経験もすでにありますのでがん以外で往くかもしれません。車や自転車、スクーターにも乗っていますので事故で往くかもしれません。地震が来て潰されていくかもしれません。火に焼かれていくかもしれません。自ら命を絶つことは絶対にないと今は思っていますが、これもわかりません。色々可能性は限りなくありそうですが、その時が実際に来ないと、この命の事ばかりは誰にもわかりません。という事は、人それぞれその時その時をそのまま受けていかねばならぬという事ではないでしょうか。誰が悪いのでもない、誰のせいでもない。その時が来たら、いよいよかと覚悟を決めて、お念仏申す身と成らせていただく者は息が切れたその時がお浄土であります。いつどこでどうなろうともお念仏と一緒です。往く人も残る人もお念仏に救われていくのです

 

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